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茶花・山野草 いけ花 茶の湯・御菓子

思いのまま

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正月 屠蘇

 新しく始まる一年の朝、気が引き締まる感覚は寒さの所為だけではない、大切な一日です。
 いろんな思い、願い、決意をもって始まる新年に行事はなくてはならない儀式として古来より今日まで受け継がれてきました。
 各家庭、団体、会社でそれぞれ異なることと思いますが、これだけはどちらのご家庭でもされるのではないのかなと思い、少し説明させていただきます。

 屠蘇の語源なのですが、「鬼気を途絶し人魂を蘇生」する薬の名前から来ているそうです。
 唐の(そんしばく)孫子貌←この漢字にしんにょうがつきますが、私のPCでは変換できません。で、「そんしばく」といわれる方の創作された薬の名前で、疫を除く効ありといわれた薬であって、平安初期に伝わったそうです。
 白朮(おけら)、防風、山椒、桔梗、肉桂、大黄の処方で典薬寮では前日の晩に緋嚢に入れて恵方の井戸に吊るしておき、元旦酒に入れこれを薬子と言われる職の少女に飲ませ、後歯固(はかため)(餅など)と共に天皇の献じられます。
 同時に白散(びゃくさん)、度嶂散(としょうさん)の散薬を奉り、膏薬(とうやく)を掌に塗られます。室町幕府でも白散を用いたそうです。江戸時代には屠蘇は民間に伝わって年少から飲む習慣となりました。

 画像の花は蝋梅です。昨年の大雪で幹が折れてしまいましたが、今年は無事咲いてくれました。あたりは蝋梅の香で新年の華やいだ空気に花を添えてくれました。

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歯固(はかため) 雑煮

 今年の寒さは、いつになく厳しいようです。寒い中少しづつ蕾を膨らませている紅梅を見つけました。床の間に生け込んでやると、何時の間にか開いて良い香りを振り撒いています!
 外の紅梅はまだ寒さに震えながら、蕾を固く閉じているのです。

 屠蘇に続くものは、雑煮ですね。歯固は唐の時代に、元旦膠牙錫(こうがせい)という飴をかじって歯の根を固めることが伝わり、平安朝では宮中で鏡餅、大根、押鮎、譲葉、橘を献ずることを歯固ということとなったそうです。
 公卿家では鏡に向うといって鏡餅に向かい拝したことが、後の餅飾りとなったそうです。
 餅を中心として、鮑、煎海鼠、焼栗、山の芋、里芋、大豆を味噌汁でえんぎを祝ったのが、今の雑煮なのだそうです。

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一月十五日 御粥

 御粥といいますと、七日の七草粥を思い浮かべますが、いろんな文献を調べてみますと古くは、正月宮中でも若菜を摘んで羹(あつもの)とし、また七種の穀物を粥として食することが唐風に倣って行われたそうです。このななしゅとは米、粟、黍、稗、篁子(みのこめ)、胡麻、小豆とされていましたが、後世は小豆のみの粥を食したそうです。

 画像の草はナズナです。あまり美味しそうには見えませんが、通称ぺんぺん草で名の通った有名人です。アブラナ科でビタミンCが豊富に含まれ、コリン、アセチールコリンを多量に含有しているそうで、血圧効果作用や緩和に効果があるとされています。

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子日(ねのひ)

 子日に岳に上り四方を望めば陰陽の静気得て疫を除くといわれる中国古代の迷信から、天平十五年聖武天皇は石原宮の楼上で時饗宴を催されたのが始まりで、七日同じく上子日にものべに出て小松を根とともに抜き若菜を摘む風が加わり、藤原時代に野に出て宴を催されたそうです。子日の宴といわれます。
 ねのひは根延びでもあります。この日は十二種の若菜を天皇に献上されますが、正月七日にも七種の菜を羹にする風習もあることから、鎌倉時代には子の日が衰えて七日の方が盛んになって来ました。
 七日の七草には耳なし草などがあったとされますが、よく判らないそうです。
 鎌倉時代には今と同様に、芹、御形、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、母子草と定まったようです。
 で、上子の日にはどんな行事が残ったかと言いますと、小松を根とともに抜きかえり、これを軒にかけて歌を作ったそうです、
 松は千載の壽の契る長生の木で、秋には落葉もせず色も変わらぬ常盤木といって慶ばれたものです。また小松は子持つとかけて祝うのです。
 
 説明が長すぎましたね、画像はハコベですが自信がないのです。違うかもしれませんが許してくださいね。春の七草の一つなのですが、分類上は秋の七草の代表でもある撫子の仲間、ナデシコ科なのです。面白いですよね。
 ハコベ塩なるものがあるそうです。乾燥したハコベをすり鉢ですって塩を混ぜたものですが、これで歯を磨くと歯ぐきが引き締まり、歯槽膿漏の予防に役立つそうです。

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鬼車鳥

 この草の名前ではありません。オオバコ、仏の座なのです。なにか・・・摘んでみて食べてみたい!とは思いません。やはり春の七草と言われても、旧暦の頃に近い二月十一日ごろに合せて草粥を食べてみたいですね。
 このオオバコの種子を集めたものが車前子といわれ、せき止めやたん切り薬の原料として今でも利用されています。
 
 七草は民間では六日の夜、俎板の上にすりこ木、杓子、薪、火箸、木箸とともにのせ、これらを俎板に打ち付けて音をさせる、これを七草をはやすと言われるそうですが、一般に良く聞く囃子は、
「ストトン、ストトン、七草なずな、唐土の鳥と、・・・・」と、「唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先に七草なずな、テッテッテロロテッテッテロロ」など各地にいろんな調子の囃子があるようですが、我が実家には残念ながら伝わってはおりません。

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母子草

 オギョウとして親しまれている植物ですが、これもまた繁殖している場所が悪いのか、食べてみたい気持ちが湧いてきません。
 古くは草餅に使われてきたのですが、今は蓬にその座を奪われてしまいました。在来植物と思われている方々も多いと思いますが、古代に大陸から渡って来たそうですよ。

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